地方でのクラウド元年になるか?AWS Cloud Roadshow 2016 金沢に参加してきました
はじめに
こんにちは植木和樹@上越妙高オフィスです。AWS Cloud Roadshow 2016 金沢に行ってきました。
AWS関連の大規模イベントとしては北陸初になります。上越妙高から北陸新幹線で1時間でいけるので、午前中は普通に仕事してちょっと早めにお昼をとりつつ新幹線に乗れば着いてしまいます。ビバ新幹線。
会場の様子
金沢駅から会場までは徒歩で10分ほどです。駅前の大きな通りを観光気分でのんびり眺めながらならすぐですね。アパ金沢ビルの6階が会場になっていました。
受け付けを済ませセッション会場へ。100人くらい入る一部屋と、隣でセルフペースラボと地元IT企業さんからの出展がありました。13:30の開演までにほぼ満席に。スーツが6割ってところでしょうか。北陸でも感心が高まっているようですね。
セッション
今こそクラウド!いまさら聞けない AWS クラウド入門
AWSJの小島さんからクラウド、そしてAWSに関する紹介セッションです。3年ちょっとAWSの仕事していますが、小島さんが話されるのを見るは2013年のJAWS-UG千葉以来。AWS公式では初だったりします。日本のAWS1号社員の方から聞ける機会ってのはとても貴重ですね。
クラウドとは?
- 必要な時に、必要なだけ、低価格でITリソースを提供
- 企業が使わない理由:「必要がない」
- 日本での普及率 15%くらい
- 会場では4〜5割くらい?結構多い印象
- 御社のITをもっと「楽に」にしませんか?
- カイゼンアプローチ
- イノベーションアプローチ
- 数字的に見て、クラウドへの流れは確定
- パブリック・クラウド市場 2020年 7300億円
- 2015年は2711億(物理サーバーは5000億)
- Intelの重視「スーパー7」
- 世に供給されていないチップセットがAWSに先行提供
- パブリック・クラウド市場 2020年 7300億円
なぜアマゾンがクラウドを?
- ITを徹底活用する企業
- レコメンデーション
- オンデマンド ビデオ
- IoTボタン
- amazon echo
- 実はアマゾンの利益の半分がAWSが占めている
- Amazonの売上の7%がAWS
- Amazonの利益の半分がAWS
- 本業(アマゾン)が儲かっているからAWSを安く提供できるわけじゃない
- つまり撤退から一番遠いクラウド
- AWSサービス開始は"Cloud"登場前夜だった(8/24)
- S3 (Simple Storage Service)
- EC2 (Elastic Compute Cloud)
- "Cloud"という言葉がもっと後にでていたらEC2という名前ではなかったかも
価格
- エアラインのチケット(通常、早割、直前割り)と同じ:オンデマンド、RI、スポット
- 飛行機と同様、稼働率が要
- 余っているリソースを売り切る力が大切
セキュリティ
- 大概のセキュリティ問題はAWSが経験し知見がある(DDoS攻撃とか)
- 共有責任モデル
- コントロールは 100% ユーザーが可能
まとめ
- 「速いものが遅いものに勝つ」
ここが知りたい!AWS 導入までの AtoZ ~企業が AWS を導入する際に考慮すべき点~
AWSJの石?達司さんから初めてAWSを使う方向けのハウツー紹介でした。
- 導入ハウツー
- アカウントの開設方法
- 支払方法
- サポートプラン
- 無料枠
- 見積方法
- セキュリティ
- 稼働率
APN パートナーセッション 明日から使える AWS! ケース別クラウド移行ポイントのご紹介
北陸の地元企業2社からの事例紹介でした。
株式会社システムサポート様
- タイトル「北陸企業のAWS活用が起こす革新的イノベーション」
- 4年前からクラウド専門部署立ち上げ:「クラウド工房」というブランド
- Rising Start of the year
- 2014 APN Oracle コンピテンシー(日本で3社しか取得してない。すごい。)
BAYCREWS
- ショッピングサイト
- 数十台のオンプレで構成していた
- 年末・セールス時にトラフィックが耐えられない
- 機会損失
- 必要な時のみリソースを調達したい
- 3ヶ月でAWSへ移行
- 8台 → 48台へスケールアップ
- 売上219%アップ!
某エネルギー関連企業
- ビル(電力、気候)などを収集し、適切な温度管理方法を利用者に提案するシステム
- Kinesis → Redshift
SHIFTEE
- シフト管理システム
- 3名、4ヶ月で開発
- 現在数百ユーザーだが、今後数万ユーザーまで拡張予定
- 3名で運用まで行っている(AWSのおかげ)
AWSのメリット
- 従量課金
- すぐ始めていつでも辞められる
- 最新技術がサービス化
- APNパートナーによるサポート
-
AWS活用は北陸のBusinessに大きなイノベーションを起こす
NECソリューションイノベータ株式会社
クラウド導入時に検討すること
- コスト
- 信頼性
- セキュリティ
- 運用
コスト
- オンプレとAWSの比較は難しい
- 電気代、ファシリティ、ライセンスも含まれている
- 単純な比較だとAWSの方が高くなることがある
- コスト削減のコツ
- 必要な時間だけ稼働させる(6:00〜20:00, 土日休み)
- 週末だけ高スペックのインスタンスに変更する
信頼性
- EC2 SLA 99.95% (実際は 99.9995% で提供できてるっぽい)
- オンプレシステムでクラスタ化した場合は 99.995 %と言われているのでそれ以上
- EC2はMulti-AZで構成すること
セキュリティ
- AWSはデータ預かりサービスではない
- きちんとした仕組みが必要
- 共有責任モデル
- AWS原因のセキュリティ事故はゼロ件
運用
- 障害対応
- CloudWatch
- オンプレで利用していたソフトウェアも利用可能
- ハード更改が不要
AWSは大企業向け?
- 汎用機のバックアップをAWSで
- テープ交換(媒体コスト、テープ交換)
- DX + FTP Server
- SuperStream(会計システム)
- 法定点検
- 3ヶ月でカットオーバー
- 社内業務(グループウェア、ワークフロー)
- 保守切れ
- 400名ユーザー
- 検証してみたところ、そのまま本番環境として利用することに
- SaaS → EXPLANNER(会計システム)
- 経理部門主導
- ハードウェアの導入にハードル
- ウェブサイト、大概システム
- ハードウェア保守切れ
- 耐障害性を高めたい
まとめ
- すぐ始められる
- ちょっとだけ使ってみる
- 面倒な運用を自動で行ってくれる
- 相談に乗ってくれるベンダーがいる
【事例紹介セッション】地場企業におけるAWS活用事例
DMM.com ラボ
「艦これ」で有名なDMM GAMESにおけるAWS利用の紹介でした。
これまで
- 負荷テストをしてリソース見積
- 構築依頼
- 監視しつつリソース調整
- すごい時間がかかっていた
失敗談
- 初日に10万DAU予想 → 30万DAU(炎上)
- 運用を外部に委託しようとしたが、社内インフラにアクセスできない
- ピークタイムに合わせるとサーバーが余る
AWS導入に反対意見
- オンプレのほうがサーバー台が安くなる
- 想定外の事態による損失
AWSに決めた理由
- 事例が多い(枯れている)
- 経験者がいる
- APIが豊富
構成に悩む
- ELB + EC2 + RDS or API Gateway + Lambda + DynamoDB
- EC2にした
- オンプレ時の構成がベース
- NoSQLのテーブル設計に不慣れ
- 開発期間 7〜10の4ヶ月しかない
- RDSはAuroraを利用
- Route53 / CloudFront / S3 も使ってる
- KPIシステム:ES + DynamoDB
使ってみて
- とりあえず使ってみるができるようになった
- awscli便利
- 出退勤にあわせてEC2を起動・停止するとか
- 時間の節約
- サービスの稼働が安定した
- 2017年4月リリースのゲームではServerless構成で!(楽しみ)
アイ・オー・データ機器
アイ・オー・データさんって金沢が本社なんですね。商品戦略的視点でのクラウドサービスについてのお話でした。
主力製品
- なにかしらの形でネットワークに繋がる
- IoTデバイスと位置づけられる
- ユーザー動向の収集
- 問題を把握したい
事例1:NarSus(ナーサス)
- 法人向けNAS
- NASの状態管理(故障)を把握
- 標準サービス
- トラブル対応のガイダンス
- 元々オンプレ
- 2年前にAWSへ移行
- 安定稼働
事例2:CDレコ
- CDからスマホに直接リッピング
- 独自アプリで曲を聞くことができる
- 曲のレコメンド
- Mobile SDK → Cognito → Mobile Analytics → S3 → Redshift
AWSの良さ
- スケーラビリティ
- 開発期間の短縮
- 4月から始めて6月には開始できていた
- パーツが揃っていた
- Mobile SDKが決定打だった
IoTプラットホームで必要なこと
- データ収集・分析
- テレメトリ(位置情報)
- 予防予知保全
- 遠隔監視
- リモート制御
- 遠隔制御
- 作業効率・自動化
まとめ
セッション内容をメモしながら会場の人たちを見ていたのですが、多くの人が頷きながらメモを取っている姿が印象的でした。
個人的に今年あたりから地方でのクラウド導入が活発になると思ってます。関東で導入が進んだ技術が地方に伝わるのに大体3〜5年かかると言われてて、自分の経験的にも20年前(1996年頃)企業でホームページを持つことが広まってきたのが、新潟では2001年頃からその流れになったためです。PHPもそうかな。 クラメソでの経験的にも2013年の秋ごろから急速に企業でのAWS導入が進み始めた印象があり、たぶん今年後半か来年くらいからクラウド導入が進むんじゃないかなーと思ってます。
システムの保守切れはオンプレのシステムでは不可避です。で、今後はシステム更改の際に導入するしないに関わらず「クラウドはどうか?」という選択肢を検討することになると思います(上層部の指示とかで)。2013年にAWS Summitで聞いた「クラウドファースト」の波が地方にもきます(断言)。セッションでも話がありましたが「検証のつもりでAWSを入れてみたら、気に入ってそのまま本番移行してしまった」というAWSあるあるが今後増えていったらいいですね。
AWS Cloud Roadshowはこの後も広島、名古屋、福岡、札幌、大阪で開催されます。ぜひ地方のエンジニアや企業内の担当者はクラウドをAWSを知るきっかけとしてぜひ参加してみてください。